日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題

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言語習得・発達

登録日

2006年03月09日

問題

次の文章を読み、問いに答えよ。

 言語インプットとは、第二言語を聞いたり読んだりしている際に受容する第二言語の種類に関わる議論である。

 例えば、教師や母語話者は、相手が話の内容を理解できるように、言葉をどのようにして第二言語学習者のレベルに引き下げるのであろうか。自然な状況で受容するインプットは、形式的に教室で学ぶ場合のインプットと比べて、どのような違いがあるのだろうか。(1)的な言語学習理論では、教師からの正確で統制されたインプットが非常に重要であると考えられている。言語学習は、順序よく練り上げられたものを提示し、多くの練習と強化を行わなければならない。

 一方、チョムスキーの言語習得の心理主義的立場に立てば、インプットは学習者の生得的な言語獲得装置を動作させるだけのものである。

 彼の論では、言語は行動心理学的な過程、すなわち外界からの刺激と、それに対する反応という単純な過程では習得できず、生来人間に備わった創造能力であるとする生得能力説の立場を取る。しかも、それは内在化された文法規則を発展させることによって、複雑な言語生成を行うものである。この論は認知コード学習理論と言われ、その方法論は、(2)(1)を理論的基盤としたフリーズのオーディオ・リンガル・アプローチとは対立する特徴を多く持つ。

 

問1)

文章中の(1)(2)に入る最も適当なものを選べ。
(1):1. 行動心理学  2. 認知心理学  3. 社会心理学  4. 集団心理学
(2):1. 構造言語学  2. 生得文法  3. 社会言語学  4. 心理言語学

 

問2)

文章中の下線部について、教師や母語話者がその発話を第二言語学習者のレベルまで引き下げた場合の一般的な特徴として、最も不適当なものを選べ。

  1. イントネーションが誇張され、声も大きくなる。
  2. 話すスピードが遅くなり、ポーズの頻度と長さが増加する。
  3. 使用される語彙は、より基本的なものが多く、慣用的なものが少なくなり、多様でなくなる。
  4. 質問者が答を知っていることを聞く確認質問よりも、答を知らないことを聞く情報質問が多くなる。
     

問3)

文章中の下線部Bについて、認知コード学習理論に関する記述として、最も不適当なものを選べ。

  1. 既習項目から新出項目を認知することにより学習効果があがるの考えから、新出項目は既習項目に関連づけて提示される。
  2. 学習者が、自分の母語と目標言語との、音韻、言語構造、思考における相違を認識していれば学習効果があがると考える。
  3. 人間の脳には、無限の文を生成する能力が存在するという理論に基づき、その規則を与え、演繹的に文を作らせるのが効果的だと考える。
  4. 四技能(話す・聞く・読む・書く)のうち、音声言語を最も重要視し、読み書きは音声言語をある程度習得してから指導するのがいいと考える。

 

解答

問1) (1) 1   (2) 1
問2) 4
問3) 4

問題解説

問1)

(1)正確なインプットを多く、繰り返し与え、定着を図るのは、行動心理学的な考え方である。
(2)オーディオ・リンガル・アプローチは、構造(主義)言語学と行動(主義)心理学を基礎理論としている。

問2)

簡略化言語についての問題である。特にティーチャーズ・トークでは、情報質問よりも確認質問が多くなる。

問3)

認知コード理論では、四技能にほぼ同じ程度の重点が置かれる。認知するという観点から、読み書きの教育も重視する。

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