日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
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語用論的規範
登録日
2009年03月31日
問題
次の文章を読んで、各問いに答えよ。
語用論は英語のPragmaticsの邦訳として一般に知られている。この用語は20世紀前半から使われていたが、1960~1970年代にオースティン、サールらによって発話行為論が提唱されると、ことばの統語上の意味と現実の言語行動における機能との関連を探る研究が盛んに行われるようになった。その後、グライスが発話の意図とその理解に関して「言外の意味」の原理を提唱し、80年代前半のスペルビルとウィルソンの(1)へとつながっていった。語用論の研究に共通していえるのは、「コミュニケーションは(2)」という考え方であろう。
問1)文章中の(1)に入る最も適当なものを選べ。
- FTA
- 関連性理論
- ポライトネス理論
- アコモデーション理論
問2)文章中の下線部について最も適当なものを選べ。
- 協調の原理
- 合意の原理
- 適切性の原理
- 面子(メンツ)の原理
問3)文章中の(2)に入る最も適当なものを選べ。
- 文法的な知識によって達成できる。
- コンテクストがわかれば達成できる。
- 文法的な知識のみによっては達成できない。
- インフォーメーション・ギャップがあれば達成できない。
解答
問1)2
問2)1
問3)3
問題解説
問1) |
関連性理論は、発話の解釈における推論過程を解明する理論。「不必要なコストを払うことなく、できるだけ多くの認知環境の変化の改善をもたらす情報」が関連性のある情報とされる。 |
問2) |
哲学者グライスは、ことばの文字通りの意味に対して、コンテクストで生じる言外の意味を生み出す基盤として「協調の原理」を立てた。この提案は革新的であり、多くの言語哲学者の興味を引き、会話の推意を研究する学問、語用論が大きく発展するきっかけになった。 |
問3) |
文法的な知識があっても、言葉の運用力(使い方)が適切でないと、コミュニケーションが達成できないということ。 |