日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題

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言語教育法・実技(実習)

登録日

2014年07月29日

問題

*この問題は2006年に掲載した問題の再掲載となります。申し訳ありませんが、ご了承ください。

 

次の文章を読み、問いに答えよ。

 外国語の習得過程では、どんなレベルに達していても未知の語彙や表現に出会う可能性がある。未知の言葉に出会ったときに、それにこだわりコミュニケーション活動を諦めてしまうのか、文脈の前後の流れなどから未知の部分を類推して、コミュニケーション活動を続けようとするのかという違いにより、当初の伝達目的を達成する可能性は大きく変わる。そのため、最近の言語教育では A類推力をつけるための練習が重視されるようになってきている。
  私達は何らかの情報を得ようとするとき、たとえ全てを理解することができなくても、能動的に自分の知識を使って推測し、解釈することができる。その一方で、説明を聞き逃すまいと一言一句確認しながら聞くようなときもある。このように、私達は普段、目的と状況に応じて聞き方を選択しているのである。学習者も、母語ではすでにこの技能の身につけているはずであるが、目標言語において瞬時に聞き方を変えるには、やはり Bさまざまな聴解技能を使わせる訓練が必要である。
  聴解能力が伸びないと悩んでいる学習者にはその原因を探り、効果的に練習を行えるようにしたい。しかし、そのためには、その C学習者がどれだけ聞き取れたかを確認する方法も慎重に検討される必要があるだろう。聴解以外の要素のために聞き取れなかったというケースでは、適切な原因分析が困難になるからである。
  聴解の授業は、ともすれば単調になりがちであると言われる。しかし、聴解のどの能力の養成に焦点を当てているのかを明確にし、それに応じた練習方法を工夫すれば、かなりバラエティに富んだ聴解活動が行えるのである。

 

問1)

文章中の下線部Aに関して、類推力をつけるための練習として最も不適当なものを選べ。

  1. 事前にキーワードについて、知っていることを話し合わせる。  
  2. 事前に特殊な使い方がされている表現について解説しておく。
  3. 内容と関連の深い絵や写真などを見せながら聞かせる。
  4. テープを聞いた後に、その場の状況や発話者の様子を言わせる。

 

問2)

文章中の下線部Bに関して、次の(ア)~(ウ)のスキル養成を意図した授業例として適当なものを、それぞれ選べ。
(ア) スキャニング  (イ) スキミング  (ウ)インテンシブ・リスニング

  1. ラジオドラマを聞き、登場人物の話し方にどんな特徴があったかを言わせる。
  2. ある有名人へのインタビューを聞き、その人の考え方についてわかったことを言わせる。
  3. 空港に流れる、いろいろなアナウンスから、ある便の到着時刻とゲートを聞き取らせる。
  4. ある地点から目的地までの行き方の説明を聞き、できるだけ忠実に他者に伝える。

 

問3)

文章中の下線部Cに関して、聴解を行った後の確認の方法として最も不適当なものを選べ。

  1. 選択肢を読んで、記号で答えさせる。
  2. 選択肢を聞いて、記号で答えさせる。
  3. 問題文を読んで、答の文を書かせる。
  4. 問題文を聞いて、答の文を言わせる。

 

解答

問1) 2
問2) (ア)3 (イ)2 (ウ)4
問3) 3

問題解説

問1) 事前に未習項目を解説したのでは、類推能力は伸びようがない。
問2) スキャニングとは必要な情報だけを聞き取る技能、スキミングとは全体の大意を聞き取る技能のこと。
問3) 3では、文字の能力(読む能力、書く能力)がなければ、聞き取れたとしても正解は出てこない。つまり聴解力以外の能力が正解のために最も必要となる。

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