日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
検索カテゴリー
言語と社会の関係
登録日
2013年05月07日
問題
次の文章は,「国連開発計画」の報告書の一節である。この文章を読み,下の問い(問1~4)に答えよ。
言語はしばしば個人の文化的アイデンティティの重要な要素である。(ア)の語学力が十分でない一方で,主流言語や公用語の運用能力も限られている場合,人は教育や政治生活,司法制度の利用から締め出されてしまう可能性がある。(イ)な文化への同化を「奨励する」ための最も有効な手段は,(ア)を使った場合に,経済的,社会的,政治的な利益を妨げることである。
(国連開発計画(UNDP)『人間開発報告書2004(日本語版)』国際協力出版会による)
問1 文章中の (ア) に入れるのに最も適当なものを,次の1~4の中から一つ選べ。
1. 母語 2. 国語 3. 外国語 4. 地域語
問2 文章中の (イ) に入れるのに最も適当なものを,次の1~4の中から一つ選べ。
1. 個人的 2. 地域的 3. 周辺的 4. 支配的
問3 上記文章の主張につながる意見として最も適当なものを,次の1~4の中から一つ選べ。
1. 社会的に多数派に属する言語は尊重される必要がある。
2. 少数派に属する言語も社会的に尊重されなければならない
3. 経済的,社会的,政治的な国益を妨げるような言語教育があってはならない。
4. 言語は国家のものなので,どの国においてもまず国語が尊重される必要がある。
問4 上記文章の背景にある事柄として最も適当なものを,次の1~4の中から一つ選べ。
1. 世界各地で消滅しかけている言語や文化の保護が必要になっている。
2. 世界各地で社会的・文化的な利益を受けられない人が数多く存在している。
3. 社会的少数派に属する人々の言語的・文化的な権利の拡大を危惧している。
4. 国家間での人の移動が頻繁となり,各国固有の文化の保護が必要となっている。
解答
問1 1
問2 4
問3 2
問4 2
問題解説
『人間開発報告書2004』は,宗教,民族,言語の異なる文化的集団に対する差別を防ぐには,各国が多様な文化を推進する政策をとる必要があり,文化的な自由を抑圧ではなく,拡大することこそが,われわれの住む社会の,そして異なる社会と社会の間の,安定や民主主義,そして人間開発を促進させることのできる唯一の持続可能な方法であるとしている。