日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
検索カテゴリー
異文化理解と心理
登録日
2015年02月24日
問題
次の文章を読み、各問いに答えよ。
異文化環境に一定期間滞在した人は、多かれ少なかれ誰でも、心理的、生理的なショック、すなわちカルチャー・ショックを経験すると言われている。症状が軽い場合は間もなく回復して新しい文化に適応するが、症状が重い場合、ノイローゼになるなど深刻な異文化不適応状態に陥ってしまう。
このカルチャー・ショックの原因となる文化的相違としては、法律などの社会的規範、人間関係を築く上での慣習、 (ア) といったさまざまなものが挙げられる。
異文化への適応過程については、Uカーブ仮説あるいはWカーブ仮説のモデルで説明されることが多い。Uカーブ仮説を例にとれば、異文化環境に身を置くことになった初期(Uの左上)からしばらくは新しい環境への期待感、新鮮な刺激への幸福感などから (イ) と呼ばれる時期があり、やがてその幸福な段階を過ぎると、徐々に不安や不満を感じる状態に陥る。この段階を無事に乗り切ることができれば、自文化と新しい文化の相違や、それぞれの長所短所を客観的に理解し、受け入れることができるようになる。最終的にはU字の右上にあるように、無事に異文化に適応し、平穏な心の状態を取り戻すことができるようになる。
もう一方のWカーブ仮説によれば、異文化環境における一定期間の滞在後自文化に再び戻ってきた人が、自文化に対するカルチャー・ショックと適応の過程を経験するという。これが (ウ) と呼ばれるものである。
海外留学生や駐在員など、長期にわたる異文化滞在が予定されている人を対象にして、このカルチャー・ショックを和らげ、異文化に順調に適応するための訓練を行うことがある。この訓練には、A認知面、B情意面、行動面の3種類があるが、実際にはこれらを適宜組み合わせて実施される。
問1) |
文章中の (ア) に入れるのに不適当なものを選べ。
|
問2) |
文章中の (イ) に入れるのに最も適当なものを選べ。
|
問3) |
文章中の (ウ) に入れるのに最も適当なものを選べ。
|
問4) |
文章中の下線部A「認知面」での訓練に関連しないものを選べ。
|
問5) |
文章中の下線部B「情意面」での訓練の手法として、シミュレーションなどが挙げられる。このうち、参加者全員を二つの独特な文化にわけ、それぞれの文化様式を身に付けた上で、相互交流を行い、異文化接触の経験を図るものを何と言うか。最も適当なものを選べ。
|
解答
問1) 4
問2) 1
問3) 2
問4) 2
問5) 3
問題解説
問2) |
「ハニームーン期」や「新婚期」などとも言われる。 |
問4) |
2はクリティカル・インシデントの例で情意面に関わる。 |
問5) |
バファバファとは異文化を体験するシミュレーションゲームの一つ。参加者はいくつかのグループに分けられ、それぞれの所属する国の文化、習慣、行動様式などを学ぶ。その後、各グループから別のグループに調査団を派遣し、自分のグループにその報告を行い、文化の違いについて話し合いをする。全ての報 告が終わった後、ファシリテータの元で異文化を理解する上での難しさ、カ ルチャー・ショックなどについてディスカッションを行う。 |