日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題

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言語教育法・実技(実習)

登録日

2014年09月02日

問題

*この問題は2006年に掲載した問題の再掲載となります。申し訳ありませんが、ご了承ください。

 次の文章を読み、問いに答えよ。

 第二言語学習者には成人が多く,母語で十分に読解能力を発達させてきているとしたら,母語での読解能力は第二言語での読解に転移されないのだろうか。

 クラーク(Clarke)は,この問いに対して,第一言語の読解能力は,第二言語の言語能力が(1)より低い場合は,たとえ母語の優れた読解ストラテジーを持っていても,これを第二言語の読解に活用できないとした。そしてA読み手が難しい言語的処理を要求された場合には,本来持っていた有効な読解ストラテジーを捨ててしまうという仮説を立てた。
 現場の経験からいえば,言語能力が低い段階では,いかに第一言語で優れた読み手であっても,第二言語では十分に読めない。しかし,言語能力が上がってくると,第一言語での優れた読み手は第二言語でも読解の能力が高い。逆に,いくら日本語の言語能力が高い学習者でも,母語でよく読書をしていない,つまり母語でも読解ストラテジーを持っていない者は,第二言語の読解では部分的に意味が理解できてもテキスト全体の意図を十分に把握することができない。第二言語の言語能力も第一言語の読解能力も,いずれも第二言語での読解には大きく影響してくると考えられる。
 第二言語における読解研究は,第一言語の読解研究を受けた形で発展しているが,第二言語ならではの特徴もある。つまり,成人であれば,読み手が母語での読みのストラテジーをある程度持っていると考えられる。また,(2)により,第二言語の言語能力の不足部分を背景知識に頼ることが多い。
 読み手の活動としての読解にスポットをあてたとき,教師は言語や背景の知識を与えることもさりながら,B学習者がその知識を効果的に使えるような訓練を行うべきであり,さらに新しい知識の創造のためには読み手自身に,読んで理解するという行動をいしきかさせることが必要である。

 

問1) 文章中の(1),(2)に入る最も適当なものを選べ。
(1) : 1. (いき)域  2. 期待値  3. 真理値  4. 偏差値
(2) : 1. サーチモデル  2. 相互補償モデル  3. モニターモデル  4. 相互活性モデル

問2) 文章中の下線部Aについて,最も適当なものを選べ。

  1. 意味対立仮説
  2. スクリプト仮説
  3. プロトタイプ仮説
  4. ショート・サーキット仮説

 
問3) 文章中の下線部Bについて,最も適当なものを選べ。

  1. 概念ノードに接続させること
  2. 母語の干渉を予測させること
  3. スキーマを活性化させること
  4. 先行オーガナイザーを意識させること

解答

問1) (1) 1     (2) 2
問2) 4
問3) 3

問題解説

問1)

閾(いき)域とは,ある限界の値のことで,それより低いか高いかで,結果が変わってくるような値を指す。補償とは,何かで補うこと。例えば,語彙知識が不足している場合には統語知識でその内容をとらえようとするようなこと。

問2)

第二言語の言語能力があるレベル以下の場合には,母語で素晴らしい読解能力を持っていても,それは第二言語の読解のときには役に立たないということ。

問3)

言語知識が不足している場合は,既有の知識(スキーマ)を効果的に活用させること。

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