日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
検索カテゴリー
言語教育法・実技(実習)
登録日
2008年05月27日
問題
次の文章を読み、問いに答えよ。
アクション・リサーチは、教師が自己成長のために自らの行動を計画して実施、その行動の結果を観察して、その結果に基づいて内省するリサーチであり、「自己の教室内外の問題および関心事について、教師自身が理解を深め、実践を改善する目的で実施される、システマチックな調査研究」と定義される。
アクション・リサーチのトピックは、実践する教師自身の関心・興味により決定される。実施プロセスとして、「スタート地点の発見」「リサーチのトピックの明確化」「情報収集」「予備調査」「行動方略の発展」「行動の計画立案」「行動の実施」「行動結果の観察・分析」「行動成果の内省」「公開」という10のステップがあるが、リサーチの進行に伴い、実施プロセスは柔軟に変化していく。
アクション・リサーチは普遍的真理を追究する実証主義的な実験研究とは異なる目的、すなわち「教室内外の問題および関心事についての、教師の理解の深まりと教育実践の改善」そして、その結果生じる「教師の自己成長」を目的として実施されるものである。目的の相違は、機能および方法論の違いをも意味するだけでなく、その質の良し悪しを考えるときの基準の見直しも要求する。実証主義的な実験研究の質を判断する基準である(1)に基づいて、アクション・リサーチの質を判断することは避けられるべきであり、その代わりとして「教育的実践の向上」「倫理的正当性」「実用性」などがアクション・リサーチの質の判断基準として採用されるべきである。
問1)文章中の(1)に入る、最も適当なものを選べ。
- 信頼性と帰納性
- 帰納性と演繹性
- 妥当性と演繹性
- 信頼性と妥当性
問2)アクション・リサーチを提唱したレヴィンに関係するものとして最も適当なものを選べ。
- 参与観察
- エスノグラフィー
- グループ・ダイナミクス
- ジャーナル・アプローチ
問3)アクション・リサーチの特徴として、不適当なものを選べ。
- 現場教師が行うものであり、内省的である。
- 伝統的なリサーチよりも柔軟性があり、取り組みやすい。
- 自分の教室を超えた一般化を直接的に目指すものではない。
- 授業を行っている本人が行うものであり、協働的であることは望ましくない。
問4)アクション・リサーチを実施するメリットとして、不適当なものを選べ。
- 教師同士のネットワーク作りに貢献する。
- 教師の仕事に対する周囲の人々の理解が深まる。
- 教師は既成の理論を受け入れる消費者として機能する。
- 教師一人一人が教え方に関する情報の発信基地になれる。
解答
問1)4
問2)3
問3)4
問4)3
問題解説
問1) |
リサーチには、その研究目的に応じて、基礎研究、応用研究、アクション・リサーチの3種類がある。アクション・リサーチでは、同じ条件で実験を繰り返すことは不可能である。そのため、調査の手順を明確にする一方で、得た資料から結論を得るときに、正しく、客観的な整理をすることが必要である。 |
問2) |
レヴィンはグループ・ダイナミクスの創始者である。 |
問3) |
アクション・リサーチは授業を行っている本人が行うものであるが、他の教師に見てもらうなど、協働的であることが望ましい。 |
問4) |
教師一人一人が既成の理論を受け入れるだけの消費者になるのではなく、教え方の情報の発信基地になれるのがメリットの一つである。 |