日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
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総合問題
登録日
2014年05月13日
問題
*この問題は2004年に掲載した問題の再掲載となります。申し訳ありませんが、ご了承ください。
(1) クラスの外国人学習者から「『~だけ』と『~しか』の使い分け方がわかりません。」という質問を受けた。この質問に対する教師の説明として最も適切なものを選べ。
- 「~だけ」も「~しか」も両方とも一つであることを表しますが、同じことを伝える場合に、「だけ」の場合は「私だけが学校を休んだ」のように後ろの文が肯定形、「しか」の場合は、「私しか学校を休まなかった」のように後ろの文が否定形で使われるのです。
- 「~だけ」も「~しか」も両方とも一つであることを表しますが、「冷蔵庫の中には野菜だけがある」のように「だけ」を使った場合は事実を言う文になりますが、「冷蔵庫の中には他にもたくさんあると思ったのに、野菜しかない」のように「しか~ない」の形で不満の気持を相手に伝えます。
- 「~だけ」も「~しか」も両方とも一つであることを表すという点では同じですが、「だけ」には「信用できるのは彼だけだ」のように「~だけだ」で言い切る用法があるのに対し、これは間違った文ですが「信用できるのは彼しかだ」のように「~しかだ」で言い切る用法がないという点が違います。
- 「~だけ」も「~しか」も両方とも名詞につけると一つであることを表しますが、「彼の話は聞くだけ無駄だ」のように動詞につけると「だけ」は不満の気持を相手に伝え、「しか」は「彼の話は聞くしかない」のように「しか~ない」の形で諦めの気持を相手に伝えます。
(2) 次に挙げる文は、言語教育におけるシラバス(syllabus)についての説明である。それぞれの説明として適切なものを選べ。
- 構造シラバス (structural syllabus)
- 機能シラバス(functional syllabus)
- 場面シラバス(situational syllabus)
- 話題シラバス(topic syllabus)
a) | 「日本の新聞を読む」や「日本語で論文を書く」などを到達目標として、そこに至るために必要な学習項目を指導するシラバス。学習者のニーズとして上記のような活動が必要であるときに設定されるシラバスである。 |
b) | 「依頼」や「断り」、「誘いかけ」など言語の働きに着目して作成したシラバス。コミュニカティブ・アプローチで指導する際に使われることが多い。 |
c) | 「 は です」や「 てください」など構文に着目して作成したシラバス。オーディオリンガル・メソッドで指導する際に使われることが多い。 |
d) | 「郵便局」や「レストラン」などという形で整理され、そこで使われる言語を学習項目として作成したシラバス。サバイバルなコミュニケーションを指導する際に使われることが多い |
e) | 「習慣」や「文化」のように中心テーマとして取り上げられたことに対してそこで扱われる言語に着目して作成したシラバス。中級以上のレベルの学習で使われることが多い。 |
解答
(1) 2
(2) 1-c 2-b 3-d 4-e
問題解説
学習項目の(中心)総体を「シラバス」という。a)は「技能シラバス(skill syllabus)」の説明である。なお、「構造シラバス」は文法シラバス、構文シラバスと言われることもある。