日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
検索カテゴリー
言語教育法・実技(実習)
登録日
2015年08月18日
問題
*この問題は2008年に掲載した問題の再掲載となります。申し訳ありませんが、ご了承ください。
次の文章を読み、後の問いに答えよ。
「読むこと」には二つの側面がある。一つは書かれた文字や文章を正しい発音で読めるかどうかという技術的な側面で、もう一つは内容を理解しながら読むこと、いわゆる読解である。中級段階から読むことの指導は実質的に読解指導となり、分析読み(精読)と総合読み、あるいは予習を前提とする読解と予習を前提としない読解とに分かれていく。中級段階の読解教材は生の教材が増え、初級では処理できなかった文法事項や慣用表現を含み、また漢字熟語や新出語彙も飛躍的に増大するため、一般的には分析読みが授業の中心となる。ただ、この段階にいつまでもふみとどまっていると、読み方の最終目標である「読み終わると同時に全体の意味が理解できる」という総合読みの段階にはなかなか到達できない。そのための方法として、精読用よりは少しやさしい内容の読解教材を時間を限って読ませる多読や速読が考えられる。
問1) 読解教材の必要条件として不適当なものを選べ。
- 学習者の習熟度に適したもの
- 学習者の使用語彙に配慮したもの
- 学習者の興味を喚起し、学習の目的が達成されるもの
- 日常のコミュニケーション活動で使用されている自然なもの
問2) 上級の読解指導に適する教材として最も適当なものを選べ。
- 速読のスキルを活性化するタスクが取り入れやすい教材がよい。
- 表現文型の定着を目指した「表現文型積立型」の読解教材がよい。
- 内容をまとめて表出したり、表現文型を使ったりする読解教材がよい。
-
多様な読解教材で、テクストと読み手の相互作用を活性化できる「リソース型」教材がよい。
問3) 「優れた読み手」が最も駆使する傾向があるとされるものはどれか。
- 記憶ストラテジー
- 受容・産出ストラテジー
- トップダウン・ストラテジー
- ボトムアップ・ストラテジー
解答
問1) 2
問2) 4
問3) 3
問題解説
問1) |
使用語彙に配慮するのではなく、理解語彙に配慮すべきである。 |
問2) |
多様な読解リソース(書き下ろし文、社説、新書、イラスト、グラフなど)を与え、口頭表現活動、文章表現活動へと導く。 |
問3) |
トップダウン・ストラテジーは、自分のスキーマ(背景知識)を活用し、読み物全体の意味について予測や推測をたて、確認や検証を繰り返す。 |