日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題
検索カテゴリー
言語理解の過程
登録日
2007年02月07日
問題
次の文章を読み、各問いに答えよ。
短期記憶の存在を示す根拠として重要なのが、系列位置効果である。この効果は、記銘リスト提示直後、リスト内の項目を順序かまわず自由再生させる際に、リスト内のも項目数にかかわらず、最初と最後の数項目の再生率が、リストの中間部のそれと比べて高くなる現象である。
( ① )によると、系列の最初の部分の再生率が高いという( ② )が見られるのは、最初の数項目がまだ空の短期貯蔵庫に入るため、必然的にリハーサルを多く受け、長期記憶として定着する可能性が高いからとされる。
これに対して、最後の数項目の再生率が高いという( ③ )は、リスト提示後、それらの項目はまだ短期貯蔵庫の中にあって、そこから直接読み出せるとされる。実際、数字の逆唱などの妨害課題を再生前に課し、再生を遅延させると( ④ )は消失する。
このように、短期記憶と長期記憶とは別の存在と仮定することで、系列位置効果がうまく説明できる。
問1) 文章中の( ① )に入る最も適当なものを選べ。
- 二重貯蔵モデル
- フィルターモデル
- 共有基底言語能力モデル
- 分離基底言語能力モデル
問2) 文章中の( ② )~( ④ )に入る最も適当な組み合わせを選べ。
- ② 初頭効果 ③ 新近性効果 ④ 初頭効果
- ② 初頭効果 ③ 新近性効果 ④ 新近性効果
- ② 新近性効果 ③ 初頭効果 ④ 初頭効果
- ② 新近性効果 ③ 初頭効果 ④ 新近性効果
解答
問1) 1
問2) 2
問題解説
問1) | 人間の記憶システムが短期記憶と長期記憶から構成されると考えるモデルを二重貯蔵モデルという。短期記憶には量の限界があり、新しい情報が入ってくると以前の情報は失われてしまうが、頭の中もしくは口頭で情報をリハーサルしたり、そのイメージを思い浮かべたり意味づけを行ったりすると、忘却が抑えられる。こうした処理で、記憶は長期貯蔵庫へ送られ、定着し忘却されにくくなる。 |
問2) | 最初に提示されたものの再生率がよいことを初頭効果、最後に提示されたものの再生率がよいことを新近性効果という。これをグラフ化すると、真ん中の再生率が低い。これを系列位置効果といい、人間の記憶が、短期記憶と長期記憶からなることの説明がしやすくなる。 |