日本語教育能力検定試験「マンボウ」問題

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言語と社会の関係

登録日

2013年03月19日

問題

次の文章を読み,下の問いに答えよ。

海外における日本語教育の普及に取り組んでいる国際交流基金(JF)は,2010年3月に「JF日本語教育スタンダード2010」を発表した。これは日本語教育が多様化する中,2005年から取り組みがすすめられていたものである。

この「JF日本語教育スタンダード2010」は,「 (ア) 」を基本理念に開発されたが,これには「課題遂行能力」と「異文化理解能力」の二つの能力が必要であるとされている。 またAヨーロッパで開発されたCEFRの言語熟達度のレベルにもとづき,日本語の熟達度をB「~できる(「Can-do」)という形式の文で示し,「みんなの「Can-do」サイト」で提供している。

国際交流基金のサイトでは,この「JF日本語教育スタンダード2010」の成り立ちを分かりやすく「JFスタンダードの木」で表現している。これは, (イ) と言語能力の関係を整理したものである。

言語によるコミュニケーションのためには,基礎となる言語能力が必要となる。それを木の根で示している。この言語能力は「C言語構造的能力」「社会言語能力」「語用能力」の3つに分類されている。そして,言語能力を基盤として,木の枝のように広がりを持つのが (イ) である。読んだり聞いたりする「受容」,話したり書いたりする「産出」,会話等を行う「やりとり」やそれらをつなぐ「テクスト」,言語能力と (イ) を結び付ける「方略」が示されている。

日本語を学ぶ目的は人それぞれである。このJFスタンダードの木をもとに,自分にとって必要なもの,重点をおくべきところが明らかになり,学習目的に応じた学習計画が立てられるとされている。
 

問1)

文章中の (ア) に入れるのに最も適当なものを,次の1~4の中から一つ選べ。

  1. 正しく美しい日本語
  2. 相互理解のための日本語
  3. 生活者としての外国人のための日本語
  4. ノンネイティブのための専門的な日本語
     

問2)

文章中の下線部B「CEFR」はどのような基本理念に基づいて開発されたか。最も適当なものを,次の1~4の中から一つ選べ。

  1. 言語・文化の多様性を尊重した多文化主義
  2. ヨーロッパは最も優れているとする民族中心主義
  3. 互いにそれぞれの言語・文化を尊重し学び合う複言語主義
  4. 一つの共通言語を定め,他の言語も公用語として認める多言語主義
     

問3)

文章中の下線部C「Can-doリスト」にはいくつのレベル設定について説明したもののうち,最も適当なものを,次の1~4の中から一つ選べ。 

  1. 段階は示されず,全レベル統一の試験によるスコア表示を目安とする。
  2. A~Eの5段階で示され,Aランクはノンネイティブの到達する最高レベル。
  3. 全体をA,B,Cの3段階に分け,それぞれをさらに2段階に分けた6段階表示。
  4. 1級から5級に分け,1級,2級にはそれぞれ準1級,準2級がある7段階表示。
     

問4)

文章中の (イ) に入れるのに最も適当なものを,次の1~4の中から一つ選べ。

  1. 言語活動
  2. 言語創出
  3. 言語獲得
  4. 言語理解
     

問5)

文章中の下線部D「言語構造能力」に含まれないものを,次の1~4の中から一つ選べ。

  1. 語彙の知識
  2. 正しい発音
  3. 文法規則の知識
  4. 場の雰囲気を読む力

解答

問1) 2
問2) 3
問3) 3
問4) 1
問5) 4

問題解説

問2)

3. 複言語主義(plurilingualism)」は,欧州評議会による新造語である。

問3)

1. はTOEFL, 2. はTOEIC,4. は実用英語検定のそれぞれのレベル表示。

問5)

4. の「場の雰囲気を読む力」は,社会言語的な適切さに含まれると考えられる。

 

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