用語名

間接受け身/間接対象の受け身

かんせつうけみ/かんせつたいしょうのうけみ

用語詳細

「太郎が先生にほめられた」や「この寺は、1000 年前に建てられた」のように、行為・動作・できごとを受ける人やものを中心にして表現する形式を「受け身」または「受動態」という。受け身文では、動詞の「受け身形」が使われる。受け身形の作り方は、学校文法では、動詞の未然形に助動詞「れる」「られる」を接続させるというふうに説明される。日本語教育では、
(1)五段動詞では、語幹に受け身の意味を表す接辞[areru]を接続させる。
  読む→読まれる(yom-u → yom-areru)
(2)一段動詞では、語幹に受け身の意味を表す接辞[rareru]を接続させる。
  見る→見られる(mi-ru → mi-rareru)
(3)変格活用動詞
  カ行変格活用動詞 来る→来られる
  サ行変格活用動詞 する→される
のように説明される。

受け身文の種類には以下のものがある。
(1)直接受け身(直接対象の受け身)〜直接対応する能動文がある受け身文〜
「その生徒は先生にほめられた」という受け身文は「先生はその生徒をほめた」という能動文に対応している。このように直接対応する能動文がある受け身文のことを「直接受け身」という。能動文のどの格を受け身文の主格にするかによって以下の二種類がある。
① ヲ格の受け身(能動文のヲ格補語が主格補語になる受け身)
  ・その生徒は先生にほめられた。←先生がその生徒をほめた。
② ニ格の受け身(能動文のニ格補語が主格補語になる受け身。「相手の受け身」ともいう)
  ・彼は婚約指輪を突き返された←彼女は彼に婚約指輪を突き返した。

(2)間接受け身間接対象の受け身)〜直接対応する能動文がない受け身文〜
「彼は、妻に先立たれた」という受け身文には対応する能動文がない。(「妻は、彼を先立った」とは言えない)このように直接対応する能動文がない受け身文のことを「間接受け身」という。間接受け身にも以下の二種類がある。
① ノ格の受け身(「所有の受け身」ともいう)
  ・(私は誰かに私の)足を踏まれた。←誰かが私の足を踏んだ。
  ・(私は誰かに私の)財布を盗まれた。←誰かが私の財布を盗んだ。
動作、行為を受けた人を主格補語にして、その人の所有するもの(体の一部・持ち物)にその動作、行為が及んだことを表す。受け身文の(私は誰かに私の)の部分は普通、表現されない。
② 第三者の受け身(迷惑の受け身・被害の受け身)
  ・(私は)一晩中、赤ん坊に泣かれた。←赤ん坊が一晩中泣いた。
   この受け身文は「自動詞の間接受け身文」である。
  ・(私は)隣人に塀を作られた。←隣人が塀を作った。
    受け身の文で表現されて初めて迷惑を被った人が表されるので「迷惑の受け身」「被害の受け身」ともいわれる。

(3)非情の受け身
主格補語が非情物(無生物)の直接受け身文で、普通、動作主は表現されない。迷惑や被害の意味も表さない。
  ・2002 年のワールドカップは日本と韓国の両国で開催される。

(4)その他
常に受け身の形で表現され、そのものの性質や状態を表す。このような文は厳密には受け身文とは考えないのが普通である。
  ・彼は、体力に恵まれている。

 

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