用語名

協調の原則(cooperative principle)

きょうちょうのげんそく

用語詳細

会話がいかに効率よく、また円滑に行われることを目論んでいるかという観点から、グライス(H.P.Grice)は四つの会話の公理を考えた。
① 量の公理(maxim of quantity)は、「情報は過不足なく適量にする」のがよいとする公理である。
 A:交番はどこですか?
 B:それほど遠くはないですよ。(不適切)
正しくは,「そこの角を右に曲がって100メートルほどですよ。」
② 質の公理(maxim of quality)は、「事実を真のとおりに話す」という公理である。
例えば、AがBの友人Cの保有する中古車を買いたいと思っている。
 A:君の友人の車を買おうかと思っている。20万円ぐらいだと言うし。
 B:それはいい。あの車はよく走るよ。(不適切)
正しくは,「いいかどうかわかりませんよ。あの車は前に何度も故障している。
③ 関連性の公理(maxim of relation)は、「関連性のあることを話題とする。」という公理である。
 A:勤め始めた会社はどう?
 B:家から近くて助かっているよ。(不適切)
正しくは,「上司とそりが合わないようだ。」または「仕事は面白いよ。」
④ 様態の公理(maxim of manner)は「はっきりと簡潔に順序よく話すこと」という公理である。
 A:「ごみを出してきてこらえる?」
 B:「いいよ。ごみを作り出した人が出しに行くべきだと思うけど。」
正しくは,「いいよ。でもこういう雑用をだれがやるか話しあおう。」

通常の会話は,互いに協調の原理に基づいて情報交換が行われる。
たとえば,田中が「佐藤さんがいないね。」と話したのに対して,鈴木が「佐藤さんは風邪だよ。」と答えたとしたら,鈴木の答えは「風邪が原因だ」もしくは「原因の可能性」があるという含意を示している。
 

検索インデックス


検索カテゴリー

言語使用と社会

アークアカデミー 日本語教育能力検定試験 対策講座