用語名

使役/使役態

しえき/しえきたい

用語詳細

「Xが何かをする」ということを、その行為・動作を指示する他者(使役者)Yが、Xにそれを強制する、あるいは、消極的に許可する、妨げないという意味を、使役者Yを中心にして表現する形式を「使役」または「使役態」という。使役文では、動詞の「使役形」が使われる。使役形の作り方は、学校文法では、動詞の未然形に助動詞「せる」「させる」を接続させるというふうに説明されるが、日本語教育では、
(1)五段動詞では、語幹に使役の意味を表す接辞[aseru]を接続させる。
   読む→読ませる(yom-u → yom-aseru)
(2)一段動詞では、語幹に使役の意味を表す接辞[saseru]を接続させる。
   食べる→食べさせる(tabe-ru → tabe-saseru)
(3)変格活用動詞
   カ行変格活用動詞 来る→来させる
   サ行変格活用動詞 する→させる
のように説明される。なお、それぞれ「読ます」「食べさす」「来さす」「さす」という縮約形(短縮形)も使われることがある。

使役文は、使い方によって以下の意味を表す。
(1)動作主Xの意志に関わりなく動作・行為を強いる場合は、強制を意味する。
 ・母親は嫌がる子供にピアノの練習をさせた。
(2)動作主Xがその動作・行為を欲している場合は、許可・放任を意味する。
 ・(娘が行きたいと言ったので)娘をアメリカに留学させた。(許可)
 ・悪口を言いたい者には、言わせておけばいい。(放任
(3)Yにとって、不本意な結果であることを意味する。
 ・一人息子を死なせてしまった。
(4)ある結果を引き起こすことを意味する。
 ・悪いことばかりして、親を心配させた。

また、使役文は、自動詞か他動詞かという違いによって、以下の使い分けがある。
(1)自動詞の使役
 ・子供が学校へ行く。→母が子供を(に)学校へ行かせる。
  (使役文の動作主体は「〜を」または「〜に」で表す。)
(2)他動詞の使役
 ・子供が野菜を食べる。→母が子供に野菜を食べさせる。
  (使役文の動作主体は「〜に」で表す。)

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