用語名
指示詞
しじし
用語詳細
目に見える事物や話題に登場する事柄が、話し手・聞き手・その他とどのような物理的距離や心理的距離にあり、話し手・聞き手・その他のどの領域に属するかを指し示す語。距離や属する領域の違いによって「これ・ここ・こちら・この」などの「コ」列の語、「それ・そこ・そちら・その」などの「ソ」列の語、「あれ・あそこ・あちら・あの」などの「ア」列の語がある。日本語は、「コ・ソ・ア」の3方向が体系化されている。またどの領域に属するか不明のものを表すには、「どれ・どこ・どちら・どの」などの「ド」列の語がある。このことから、指示語のことを「コソアド語」という言い方もする。指示語の使い分けには以下のものがある。
(1)目にみえる事物を指し示すときの「コ・ソ・ア」の使い方。
これを「コ・ソ・ア」の直接的用法(現場指示の用法)と言う。
① 領域共有型の使い方〜話し手が聞き手と同じ領域にいると感じているときの「コ・ソ・ア」の使い分けは以下のようになる。
左記の図に示すように、
1.話し手と聞き手の領域にあるものは、「コ」列の語で指し示す。
2.話し手と聞き手の領域から、やや遠いものは、「ソ」列の語で指し示す。
3.話し手と聞き手の領域から、「ソ」列で表すより遠いと感じるものは「ア」列の語で指し示す。
② 領域対立型の使い方〜話し手が聞き手とは違う領域をそれぞれ持っていると感じているときの「コ・ソ・ア」の使い分けは以下のようになる。
左記の図に示すように
1.話し手が自分の領域に属すると思うものは、「コ」列の語で指し示す。
2.話し手が聞き手の領域に属すると思うものは、「ソ」列の語で指し示す。
3.話し手が、話し手・聞き手のいずれの領域にも属さないと思うものは、「ア」列
の語で指し示す。
(2)話題に出てくる事柄など、目に見えないものを指し示すときの「コ・ソ・ア」の使い方を文脈的用法といい、以下の使い分けをする。
①話し手が自分の発話についてどのような判断をするかで使い方が変わる。
1. 話し手がこれから話すことを指し示すときは「コ」列の語を使う。
・これは、まだ内緒にして欲しいんだけど、会社を辞めようと思っているんだ。
2. 話し手がすぐ前に話したことを指し示すときは「コ」列の語を使う。
・来年の春、結婚するの。でも、これはまだ秘密にしてね。
3. 話し手がすぐ前に話したことを指し示すとき、聞き手が了解したと判断すれば、「ソ」列の語を使う。
・車の衝突事故を見たんだ。それを見て安全運転しなきゃって思ったよ。
②相手が言ったすぐ前の内容を指し示すとき、「ソ」列の語を使う。
A:「10 月に結婚するんです。」
B:「それは、おめでとうございます。」
③ 話し手が聞き手と双方で理解していると判断した内容を指し示すとき、「ア」列の語を使う。
・あのレストランはおいしかったね。
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