ビジネスパーソンに日本語を教える
2021/03/22
日本語教師の働き方の1つとして、日本で働く外国人に日本語を教える、というものがあります。少子高齢化の日本で今、活躍を期待されている外国人人材。彼らに日本語を教えることへの需要は、今後も増えてくると予想されています。今回は、アークアカデミーで企業・個人日本語研修を担当している一力が「ビジネスパーソンに日本語を教える」ことについて語ります。
①学習者のニーズを把握する
日本で働いている外国人の方は、業務を日本語で行うからビジネス日本語が必要な場合と、
業務は母語で行うので生活日本語を習得したい、等とニーズは様々です。
日本語能力試験N2やN1に合格すれば、給料やキャリアアップにも反映されるので、モチベーションを持って試験対策の勉強をする方も多いです。
一方で、日本での業務だけれども、全て母語で業務をしている学習者は日本での生活が少しでもスムーズに楽しく暮らせるよう、生活のための日本語を学んでいます。
②ビジネスの日本語を教えるということ
ビジネスの日本語を学ぼうという方は、日本語能力試験N2程度の日本語力を持っていることが多いので、いかにそれ以上のレベルに上げるかを念頭におき、さらに職種、業務内容を把握してそれに合ったカリキュラムを作成しています。会社や職種によって使用語彙が異なるので、どんな単語を使うのか、前もって日本人の担当者の方に語彙リストをもらったこともあります。漢字だけでなく、IT企業などはカタカナ単語が多いので、母語の発音と日本語カタカナの発音に苦労している様子がみられます。
③生活の日本語を教えるということ
全て英語または母語で業務をしている学習者も、日本で生活するためには日本語での挨拶や買い物会話、知人との簡単なやり取りは必要です。そういう方へは文法を1から積み上げるという学習法より、形容詞や動詞の単語を覚えて、場面場面にあった文のフレーズに合わせて言い換える、という練習をよくしています。暑い、寒い、涼しい、等の気候の形容詞や、甘い、辛い、酸っぱい、おいしい、等の味の形容詞は、日本人同僚と世間話をする時によく使います。
④学習者の疑問に応える
自分が外国に行って働く場面を想定してみて、自分だったら、どんなことを知りたくて、どんなことを勉強したいかな、どんな疑問が出るかな、という視点で考えます。
学習者さんの業務、生活に役立つ日本語学習を提供したいと思っているので、日本語でのプレゼンテーション準備を一緒にした学習者さんから、「この間のプレゼンテーションを、上司に褒めてもらいました」という感想をもらったり、「子供の友達(日本人)と日本語で会話をして楽しかったです」と、嬉しそうに話してくれる姿を見たりすると、とてもやりがいを感じます。
株式会社アークアカデミー 研修事業部主任 一力 絵美